白石の鼻巨石群~うるう年について考察!
白石の鼻巨石群の観察を始めてもう9年目に入った。
その間、瀬戸内海を中心にいろんな巨石を観察してきた。
どれが人工でどれが人工でないか見極める観察眼の精度も高まってきたと思う。
「春分(秋分)、夏至の太陽軌道と白石の鼻巨石群の空洞と配列が一致する」という事実を確認した後、世間への公開・普及活動を始めたが、最初の頃は困難を極めた。
あまりにも荒唐無稽、オカルト的な話しだからだ。
今まで、自然のものと思われてきたあの巨大な石組が人為的な構造物と一般のサラリーマンが言い出した訳だから、こいつはちょっと「危ない奴」という反応も、もっともなことではあったのだ。
それにめげず、誰にもこの凄さを判りやすく伝えるために愛称を考えた!
それが「伊予のストーンヘンジ」だ。
このブランディング戦略は割とうまく行き愛媛県の観光ページでも紹介されるくらいになった。
また、正式名称である「松山・白石の鼻巨石群」も当初から全国における松山を意識してつけた。
「白石の鼻巨石群」だけではどこか判らないからだ。
何せ、ここには、太陽軌道と連動しているという否定しようのない事実と再現性があるからだ!
ところで、最初の頃の僕の観測の精度は甘かった。
春分に三ツ石の太陽が通過することを確認した僕は秋分(9/23)の4日前の9/19に地域住民20名ほどを集め初めての夕日の観賞会を実施。
初めて見た三ツ石の空洞を通過する光に皆、感動の声を上げたのだ。
それに気を良くした僕は、翌年の春も潮位の関係で春分(3/20)の5日前の3/15に春の観賞会を開いた。
その時は、広告効果も狙い読売新聞の記者も呼んでいた。
30人くらいは集まって居ただろうか。。
しかし、ものの見事に大幅に太陽軌道はずれていて入らなかったのだ。
記者には批判され、散々であった。
※3/7の白石の鼻の夕日(H氏撮影)
春分までもう2週間しかないが、まだ大きく南寄りに沈んでいる。春分の頃の太陽軌道の変動は大きい。
今では春と秋の違いが判る。
白石の鼻巨石群は観測ポイントから見ると春分から(約1週間)太陽光が入り初め、秋分まで(約1週間)入るのだ。
それを僕はこう表現している。
「春分に龍が舞い降りて、秋分に龍が舞い上がる!」のだ。
さて、今年はFacebookでもコメントをもらったがうるう年だ!
暦の機能としての太陽観測装置としての白石の鼻巨石群はどう測るのかという命題を解くチャンスだ。
松山市高浜白石の鼻での2013~2017年の3/19から3/21の日の入りの方位度は以下である。
日付 時間 方位度
2013/03/19 18:20 270.1
2013/03/20 18:21 270.5 (春分)
2013/03/21 18:21 271.0
2014/03/19 18:20 269.9
2014/03/20 18:20 270.4
2014/03/21 18:21 270.9 (春分)
2015/03/19 18:19 269.8
2015/03/20 18:20 270.3
2015/03/21 18:21 270.8 (春分)
閏年
2016/03/19 18:20 270.2
2016/03/20 18:21 270.7 (春分)
2016/03/21 18:22 271.1
※2/29に1日余分に日数を足している。
2017/03/19 18:20 270.1
2017/03/20 18:21 270.5 (春分)
2017/03/21 18:21 271.0
春分の日についてWikiでは以下と説明されている。
「日本ではこの日は国民の祝日の「春分の日」となる。春分の日は、国立天文台の算出する定気法による春分日を基にして閣議決定され、前年2月1日に暦要項として官報で告示される。天文学に基づいて年ごとに決定される国家の祝日は世界的にみても珍しい。また、この日をはさんで前後7日間が春の彼岸である。第二次大戦前は春季皇霊祭として祭日であった。」
天体観測によって国民の祝日を決めているなんて先進国は日本以外にないのではないのか。
律令時代の陰陽師が天文学で国家行事に影響を与えていたようで、なにかロマンを感じないだろうか。
祝日としての春分は3/20か3/21日だ。閏年とその翌年は3/20でその間は3/21となる。
さて、方位度は真北を0度として時計回りに90度毎に方位が分けられ真西が270度だ。
春分はほぼ真西に沈む訳だ。
白石の鼻巨石群では観測ポイントから見ると正確に春分から空洞に入り初め、秋分まで入る。
(観測する位置を変えれば、それはずれるが同じ位置から観ることが大事だ)
春分(秋分)前後は太陽軌道の変動差が一番、激しい。一日に0.5度も動く。最近は急速に日が長くなって来ていることを感じるだろう。
ちょっと前までは5時過ぎには暗かったのに。。なんて感じるはずだ。
観測ポイントから見ると、三ツ石の空洞は約296.5度だ。
この真西より少し南に傾いているというのが絶妙な角度だ。
それを指し示すオレンジ色のラインの石もキチンと配置している。
270度だと前方の興居島の山並みに遮られ太陽は観ることができない。
また、もし水平線(高度0)に焦点を合わせるとしたら海水面なので目標としてのターゲットがなく判らないと思うのだ。(山並みであれば冬至はこの辺り春分はこのあたりと目安がつきやすい)
従って低高度(1.2~3度)の太陽軌道に合せ観測点を置いたと考える。
これから推定できるのは、水平線(高度0)で日の入りが270.5度を超える日になると三ツ石のスリット線に太陽が通過するようになる。
日の入りが水平線で270.4度までは三ツ石の空洞に光が差し込まないのでと推定する。
つまり270.5度を超えるようになる日が春分となるのだ。
2014年、2015年と3/21が春分となった後、閏年の2016年は2月に1日を足しているので本来は3/19日が春分だが、1日を事前に足すことによって3/20を春分とし4年間の微調整をする。
そして翌2017年も3/20が春分だが、2013年と全く同じ太陽の方位度となるのである。
今年は折角の閏年なので3/19~3/21と集中的に観測したいと思う。
「伊予のストーンヘンジ」はまだまだ、研究途上なのだ!
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7年前に私が書いた「伊予のストーンヘンジ」。
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